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発熱した方の診療に役立つ検査機器を導入しました!

[2024.11.27]

PCR検査機器について

ようやく新型コロナ感染症の流行が落ち着き、流行前の生活が戻ってきました。
しかし、コロナ対策による免疫力の変化や、感染対策の緩和により、さまざまな感染症が季節外れの時期に起こるようになり、感染症の診断をする側として非常に悩ましい状況となってきました。

そこで当院では、主に発熱した方に対して症状や所見、周囲の感染状況に応じて抗原迅速検査を行っておりましたが、より精度の高い診断ができるようにするために、新しい検査機器【Biofire® Spotfire® Rパネル】を導入しました。
これはPCR(遺伝子を増幅する手法)を用いた検査機器で、1回の検体で15種類のウイルス・細菌を検出できます。検体採取から結果判明まで20分程度かかります。

検査対象者

周囲に流行がなく熱が持続している方
発熱しても24時間程度で自然に解熱してくることが多いため、24時間以上発熱が続いている方を検査しています。医療経済的にすべての方を検査できないため、流行がはっきりしていれば、その病原体の抗原迅速検査を行います。

咳など特徴的な症状が続いている方
咳が長く続き、血液検査や簡易的な迅速検査を受けても原因がはっきりしない方に対して、マイコプラズマや百日咳などを疑い、本検査を行うこともあります。

 

検査料金

保険診療で行えます。
医療証をもつお子さまは負担が少ないですが、成人・3割負担の方で検査費用+検体採取料+診断料など合わせて、4,500円ほどかかります。(ほかに受診料、処方箋料などもかかります。)

 

検出できる病原体

 

病原体

特徴

ウイルス

新型コロナ

2020年から流行。
軽症が多いが高齢者は要注意。
5日間の休み推奨。
抗ウイルス薬は高額。

季節性コロナ

新型流行前からかぜの原因で多い。
対症療法。

インフルエンザA

発熱、咳など、かぜよりも強い症状あり。
最低5日間の休みが必要。
抗ウイルス薬あり。

インフルエンザA
/H1-2009

インフルエンザA
/H3

インフルエンザB

RSウイルス

2歳未満にかかりやすく悪化することあり。
肺炎、中耳炎に注意。対症療法。

アデノウイルス

発熱が続きやすい。
目の充血が起こることもある。
対症療法。

ヒトメタニューモウイルス

咳が出やすい。対症療法。

ヒトライノウイルス

/エンテロウイルス

ライノウイルスはかぜの原因第一位。

エンテロウイルスは手足口病、胃腸炎の原因になる。いずれも対症療法。

パラインフルエンザ

乳幼児に感染を起こしやすく、クループの原因になりやすい。対症療法。

細菌

百日咳菌

長引く咳が特徴。
早めの抗菌薬が有効。
小さなお子様はワクチンでの予防がおすすめ。

パラ百日咳菌

百日咳に似ているが一般的に軽症。

抗菌薬が有効かはっきりしていない。

肺炎クラミジア

若者の市中肺炎の原因菌。
性感染症とは異なる。
抗菌薬が有効。

肺炎マイコプラズマ

小児、若年者の気管支炎、肺炎を含む下気道感染症の原因として多い。

抗菌薬が有効だが、耐性菌も多い。

 

検査の弱点

溶連菌、突発性発疹のウイルス(HHV-6、HHV-7)、ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルスは含まれていません。

・上気道・下気道の呼吸器疾患を調べる検査のため、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状が中心の方はこの検査を受けても原因を特定できません

1か月ほど前に感染した病原体の一部が体内に残っていると、その病原体も検出してしまうことがあります。複数の病原体が検出されたときは、症状や流行状況によって、主な感染症に対する方針を決めていく必要があります。

 

以上、発熱が続く風邪診療に対する新しい検査機器について解説しました。
すでに検査を行っておりますが、こちらが想定できなかった病原体が検出されることも多々あり、診療の助けとなっております。

発熱、かぜ症状が続く場合は、検査をご検討ください。

 

参考資料

・ビオメリュー社HP(https://www.biomerieux-jp.net/biofire-spotfire/

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