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こどもの鼻血について

[2024.05.22]

こどもの鼻血は突然起こり、また繰り返すことが多いです。

朝起きると子供の顔に流れた血液がついていたり、布団のシーツが血まみれになったりして、保護者の方がびっくりされて受診されることもあります。

今回は、こどもの鼻血について解説します。

 

鼻血の出やすい場所は?

1)鼻腔前方

左右の鼻を仕切っている壁を鼻中隔といいます。その前方に複数の小さな動脈が集まっている箇所があり、キーゼルバッハ部位といいます。

キーゼルバッハ部位は鼻の入り口であり、乾燥しやすく指で触れられるため、外的な刺激を受けやすい場所です。とくに風邪やアレルギーなど鼻水が出やすい時期は、鼻かみや、鼻ほじり、鼻こすりなど、鼻を触る機会が増え、鼻の入り口の粘膜が傷つきやすくなります。そこに痂皮(鼻くそ、かさぶた)ができ、それがはがれるたびに出血を繰り返してしまいます。

こどもの鼻血のほとんどが、このキーゼルバッハ部位からの出血と言われています。

 

2)鼻腔上方、後方からの出血

こどもでの頻度は多くありませんが、鼻の上方や後方から出血することがあります。鼻の前方がかなりきれいで、血液がのどに流れ込む量が多いときに疑われるため、内視鏡で確認します。

 

3)ポリープや腫瘍からの出血

これもかなり頻度は少ないですが、副鼻腔炎によるポリープや鼻副鼻腔腫瘍からの出血も起こりえます。出血を繰り返すとき、出血量がかなり多いときは、鼻の中を内視鏡でみていきます。

 

他に怖い病気が隠れているの?

白血病など血液の病気があるのでは?」と聞かれることがよくあります。

答えとしては、「鼻血単独のことが圧倒的に多いですが、血液の病気がゼロとは言えない」となります。

鼻出血全体からするとかなり頻度は少ないですが、急性白血病や血友病など、血液疾患の一つの症状として鼻血が出ることはあります。

その場合、鼻血以外にも出血を疑う症状(例:体をぶつけたところに皮下出血したような青あざが多い、など)や、発熱、倦怠感などの全身の症状があるかが重要です。

その心配があるようでしたら、すぐに小児科の先生にご相談ください。

 

また、「鼻と脳は近いので、脳は大丈夫なの?」と聞かれることもあります。

答えとしては「脳は大丈夫」です。

鼻の中は骨で囲まれており、鼻腔と脳は完全に隔てられておりますので、脳から出血して鼻から出ることは絶対にありません。

 

鼻出血の対応は?

出血している時

先に述べたように、鼻中隔前方のキーゼルバッハ部位から出血していることが圧倒的に多いため、出血時には鼻翼圧迫が非常に有効です。

この鼻翼圧迫には少しコツがあります。

  • 適切な場所(軟らかい鼻翼)を押さえる

鼻を眉間のところから下方向に触ると、硬い骨(=鼻骨)の部分から軟らかくなる部分(鼻翼軟骨)があります。

この軟らかい軟骨部分を外側から押さえるようにします。

片方からの出血でも両鼻をつまむように押さえれば均一な圧がかかり、一番効果的に圧迫ができます。

ただ、小さなお子様に両鼻を押さえると息が苦しくなることもありますので、片方だけ押さえてもかまいません。

  • 10分以上押さえる

よく押さえてたのに止まらなかった、と言われることもありますが、お話を聞くと短時間しか押さえてないこともよくあります。

「止まったかな?」と2,3分おきに圧迫を外して確認しようとすると、出血が長引いてしまいます。

お子さまも鼻を押さえられると嫌がるため、長時間押さえ込めないこともありますが、我慢強く10分以上押さえるようにしましょう。

  • 下を向く

鼻血が外に出てくるのを嫌って、顔を上に向かせる方もおられます。そうすると鼻の外に血は出てこなくなり、一見鼻血が止まったようにみえますが、のどに流れ込んでいくだけになります。

血液は固まる性質があるため、血餅(けっぺい)とよばれる黒いドロッとした血液の塊が鼻の中で固まったり、それがのどの奥に流れ込んだりして、止血後に息が苦しくなることがあります。

また血液を飲み込むと気分も悪くなります。

できるだけ下を向かせ、出てきた血液は外に出すようにしましょう。

  • 鼻に詰め物を長時間置かない

ティッシュを鼻の中に詰めて圧迫することもありますが、止血できた後に詰めたままにすると、ティッシュにしみこんだ血液が固まり、取り除くときに粘膜を剝がしてしまい、また出血してしまうことがあります。

ティッシュやタオルはできるだけ鼻の中に詰めずに、手で持ちながら外側から鼻翼を圧迫するようにしましょう。

 

出血予防の対処方法

鼻翼圧迫でどうにか止血できても、乾燥すると繰り返し出血しやすくなります。

そこで当院を受診された方には以下の手段を提案しています。

 

保湿剤や抗生剤入りの軟膏を塗る

お子さまにとっては一番ハードルの低い治療法です。

粘膜が乾燥しないようワセリン(薬剤名はプロペト)を1日2回くらい鼻の入り口に塗るように説明しています。綿棒につけ、綿棒が1cmくらい入ったところに円をかくように塗ってください。

鼻の入り口を触りすぎて、入り口の皮膚が赤く炎症を起こしているときは(=鼻前庭炎)、抗生剤入りの軟膏を塗っていただくよう処方しております。

 

粘膜を変性させる薬剤(硝酸銀あるいはトリクロール酢酸)を塗る

保湿剤を塗布しても繰り返し出血する場合は、粘膜を変性(=組織や血管を縮める収斂、腐食効果)させ、出血を抑える効果を期待して、硝酸銀、あるいはトリクロール酢酸というお薬を出血部位に塗ります。

にじみ出るくらいの出血であれば刺激性の少ない硝酸銀を塗布しますが、しっかりとした出血がある場合は変性作用の強いトリクロール酢酸を使用します。

トリクロール酢酸は使用すると少しヒリヒリする感じが数時間続くため、お子さまには少し嫌がられます。保湿剤を塗るよりもハードルが一段高い治療です。

 

電気焼灼をする

出血部位がはっきりしており、上の2つの処置が無効な時に行います。

ただ、電気焼灼はしっかり麻酔をしないと痛く、お子さまにとってはかなり怖い処置です。お子さまの治療としては最後の手段となります。

 

出血部位を特定できない場合はガーゼ圧迫

鼻腔上方や後方からの出血の場合は、突然大量に出血してすぐに止まることもあり、鼻の中を観察しても出血したのか確認できないくらいきれいな時もあります。それでも放置すると繰り返し大量に出血することがあるため、鼻腔前方でなさそうな出血の時はガーゼを数日鼻の中にたくさん詰めて圧迫止血をします。

このような出血はご年配の方に多く、お子さまにはかなり稀ですが、必要な時はこの処置を行います。

 

出血量がかなり多く元気がない場合や、以上の処置をしても止血できない場合は、大きな病院に相談することもありますが、かなり頻度は少ないです。

 

以上、鼻血の原因、対処法についてまとめました。

鼻血が出るとびっくりされると思いますが、お子さまも興奮するとよけい出血が止まらなくなることもありますので、保護者の方が冷静になって、お子さまを安心させながら対応していただければと思います。

 

参考文献

・井口郁雄 他: 鼻出血の病態とその対応は?. JOHNS 28(3): 410-412, 2012.

・白倉真之 他: 鼻出血を繰り返す. MB ENTONI 283: 49-54, 2023.

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