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めまい時に教えていただきたいポイント

[2026.04.12]

耳には音を感じるはたらき(聴覚)と、バランスをとるはたらき(平衡感覚)があるため、めまいやふらつきが起こると、耳鼻科を受診することが多くなります。

受診されたときに、めまい発作が起こっている時にみられる目の動き(眼振)や難聴など、検査で見極められる所見があれば診断をつけやすくなります。
しかし、めまい発作時は動けずに受診できないことが多く、ほとんどの方は発作が少し落ち着いてから受診されるため、検査で異常所見が出ず、診断を推測しないといけないことがよくあります。

そのため、めまい発作が起こっている時にどのようなめまいだったのか?、耳の症状があったのか?、など、めまいの性状からめまい疾患を推測するために、問診上重要なポイントがあります。

環境が変わる年度末や年度初めの時期にめまい疾患が増えるため、今回はめまい診断で重要なポイントについてお伝えします。

 

めまい疾患の頻度

めまい疾患の原因は、大きく分けて小脳や脳幹、それらを支配する血管や神経の障害から起こる中枢性めまいと、耳から起こる末梢性めまい、その他(心因性や全身疾患によるもの)に分けられます。

疾患の頻度は受診する施設により異なり、小さなクリニックでは耳が原因で起こる末梢性めまいが多くなり、救急車を受け入れる大きな病院では中枢性のめまいが増える傾向にあるようです。

文献によっても頻度にばらつきが多く大まかな割合となりますが、耳が原因で起こる末梢性めまいは約60%、中枢性めまいが5-10%、心因性めまい10%、原因不明が20-30%とされています。

耳が原因で起こる末梢性めまいでは、良性発作性頭位めまい症が約20-30%、メニエール病が約10%、めまいを伴う突発性難聴が約10%、前庭神経炎が約3%と言われています。

よくめまいで受診された方に「メニエールが起こった」と言われる方もおられますが、めまいの原因がメニエール病である確率は低く、「めまい」=「メニエール」と呼ぶわけではありません。

 

めまい疾患を鑑別するための大事なポイント

めまい平衡医学会が提案している、めまい疾患の鑑別のフローチャートがあります。このフローチャートを基準に問診をしていく形になりますが、その前に受診した時のめまいの強さが大事です。

 

0.お家に帰れるめまいか?

ひとりで歩いて受診される方はお家に帰るかの問題ありませんが、クリニックにどうにかたどり着いたけれども、歩けずに車いすに乗って診察室に入ってくる方、動けずにベッドで横になっている方、めまいで吐き気や嘔吐が止まらない方は、めまいの強さがどれくらいなのかが大事です。
脳血管障害など中枢性のめまいを疑うときは緊急入院が必要ですが、脳からのめまいの可能性が低いときは、めまい疾患を鑑別するよりもめまいを早く取り除くことが大事です。

めまいで入院する基準として、【お家に帰って水分が取れるのか】、【トイレ移動ができるのか?】が重要です。吐き気が強いため、食事は摂れないと思われますが、少なくとも水分は取らないと脱水になります。また水分を取るとトイレに行く必要があるため、トイレ移動ができるレベルのめまいなのかが、お家に帰る基準になります。

 

歩いて受診された方は、めまいの強さよりも以下のフローチャートが参考になります。

 

 

1.めまいを以前起こしたことがありますか?(【初発】or【再発】)

今回初めてめまいが起こったのか、以前起こっためまいが今回も同じように起こっているのか、以前起こった時にどのような診断となったのか、が重要です。

 

2.めまいが起こる誘因がありますか?

横になってじっとしていても天井がぐるぐる回っているかどうか、寝返りを打ったり起き上がったりしたときだけめまいが起こるのかが大事です。
ほとんどのめまい疾患は動くとめまい、ふらつきを感じますが、じっとしていても感じるのかが重要です。

さらに1回あたりのめまいがどれくらい続いたのか?も教えていただけると診断に役立ちます。
めまいを感じたのはトータルで1日だったのかもしれませんが、その中でも「グルっと回って数秒で落ち着き、寝返りを打つとまためまいがする」のか、「じっとしていても2時間くらいずっと天井が回ったりふらふらしたりしている」のかによって、推測するめまい疾患が変わってきます。

また、片頭痛があるかどうか、立ち上がった時に起こりやすいか、高血圧・心疾患・糖尿病などの合併症があるのか、などが問診上の鑑別点となります。

 

3.耳の症状がありますか?

最初に述べたように、耳には蝸牛と前庭・半規管があり、それぞれ聴覚と平衡感覚という2つのはたらきを持っています。平衡感覚に異常が出ると、聴覚にも影響が出ることがあります。
めまいとともに、聞こえづらい、耳鳴り、耳がこもる感じ(耳閉感)などの耳症状が出ることもあるため、その有無が鑑別点となります。

 

代表的なめまい疾患の症状の特徴

耳鼻科としては中枢性めまいでないことが大きな条件ですが、以下の代表的なめまい疾患の特徴を解説します。

 

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

特徴は、【耳の症状がなく、頭位変換(寝返りや起き上がり)で誘発される短時間の回転性めまい】です。
寝返りを打ったとき、靴を履こうと下を向いたとき、洗濯物を干そうと上を向いたとき、シャワーで前かがみになったとき、夜中や朝にトイレに行こうと起き上がろうとしたとき、など具体的な動作をお伝えされる方が多く、非常に参考になります。
1回あたりのめまいの持続時間も数秒から長くても3分以内と短時間です。

 

めまいを伴う突発性難聴

ある日突然、どちらか片方のきこえが悪くなり、めまいも感じている】ときに疑います。
ただ、突発性難聴は聴力検査で明らかに難聴を認めているため、それに伴って起こるめまいはすぐに診断可能です。〇曜日に朝起きたら聞こえなくなっていた、など日付、曜日を特定できることが多いです。

 

メニエール病

典型的なメニエール病は、【耳の症状がめまいと関連して起こり、10分~数時間程度のめまいを繰り返す】のが特徴です。

すごく有名な疾患ですが、めまいや耳症状の発作が落ち着いている時は検査正常になっていることが多く、めまい時に耳症状が伴わないなど典型的でないこともあり、診断が難しいこともよくあります。「繰り返す」という特徴も、数日単位なのか年単位なのかも判断が難しいときもあります。

ストレスや寝不足など精神面で疲れているとき、天候がよくないときに発作的に起こることが多いです。

初めての発作のときはメニエール病と診断できないため、初めて難聴やめまいを感じたときは②のめまいを伴う突発性難聴と診断し、繰り返したときにメニエール病と診断名が変わることもあります。

 

前庭神経炎

耳の症状がなく、激しい回転性めまいが数日単位で起こり、発作後にふらつきが残る】のが特徴です。
強いめまい発作が1日から数日続くため、入院していただくこともよくあります。そのため、耳の症状が出たかどうかフォローができず、その場で確定診断を下すことが難しいことが多いです。

 

前庭性片頭痛

片頭痛と関連して発作的なめまいを繰り返す】のが特徴です。
典型的な検査所見があるというよりも片頭痛が関与しためまいがあるかが重要です。
めまい患者の5-10%と言われているようですが、メニエール病との合併例が多く、メニエール病を治療していても長引くときは片頭痛予防薬が必要になることもあります。

 

起立性調節障害

立ち上がる際のめまい、立ちくらみ、失神、動悸、倦怠感】が特徴です。
血圧調整のうまくいかない年代のため、10代前後の成長期や、降圧薬を内服している高齢者に多いと言われています。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)

3か月以上、毎日認める慢性めまいで、立位、体動、視覚刺激(動いているもの、複雑な模様、コンピューター画像などを見たとき)によってめまいが悪化する】のが特徴です。
上で述べた耳から起こるめまい疾患の後に続いたり、パニック発作または不安が原因になったりと原因は様々です。
当院では慢性めまいの方への問診票(新潟PPPD問診票)を取らせていただき、点数が高い方は総合病院に相談しております。

 

以上、めまいが起こった時の症状を伝えていただくための大事なポイントを解説しました。

検査で異常所見がないとき、どうしても問診で判断しないといけません。
それでも原因不明のめまいが20-30%もあり、めまい疾患の鑑別は非常に難しいです。

年度末や新年度の時期は、環境の変化からめまいや難聴を起こす方が多くなりますので、どのようなめまいだったのか、ご自身でも気に留めていただけると助かります。

 

参考文献

・堤剛. めまい―診断と鑑別のポイント:MB ENT, 300: 1-93, 2024.

・室伏利久. めまいの診かた、治しかた : 中外医学社2016.

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